緊張型頭痛について

はじめに

頭痛でお悩みの方は少なくありません。頭痛にも色々な痛み方が有りますが、発熱と共にズキズキする強い痛みを感じたり、片側だけが脈打つように痛むケースもあります。左右両側の押さえつけられるような、締め付けられるような頭痛が、何日も続いてお悩みではないでしょうか。この様な状態は、様々な病気で出現する可能性がありますが、もしかすると緊張型頭痛かもしれません。この記事では、緊張型頭痛の診断や治療についてご紹介したいと思います。病気について正しい知識を得ることは回復のために重要です。

緊張型頭痛とは

緊張型頭痛は、もっとも頻繁に見られる頭痛であり、生涯有病率は、30〜78%と言われています。男性よりも女性に若干多くみられ、男性:女性=1:1.5です。発症は10代が多く、罹っている人の割合が高いのは、30代です。

緊張型頭痛は、片頭痛とともに、代表的な心身症です。つまり、身体疾患の中で、その発症や経過に、心理、社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる状態、ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外します。

緊張型頭痛の原因は不明ですが、頭蓋周囲筋の圧痛が健常者よりも頻度が高いことなどから、末梢性のメカニズムの関与が考えられる一方で、慢性緊張型頭痛において疼痛閾値が低下していることから、中枢性のメカニズムの関与も想定されています。

緊張型頭痛の診断

まず明らかに頭痛の原因のある二次性頭痛を除外することが重要です。

それと共に頭痛症状が心理・社会的因子と密接な関係を持つ可能性があり、それを示唆する例として、

  • 発症前または発作の頻度が増加する前にストレスとなる大きな出来事があった(例:失業、家族の死、破産、結婚など)、
  • 発作の頻度または強さが増加する前に日常のストレスが強かった(例:多忙な仕事、家庭内不和、近隣の騒音など)、などがあります。

稀発反復性緊張型頭痛

A. 平均して1ヶ月に1日未満の頭痛が10回以上あり、かつB-Dを満たす。

B. 頭痛は30分〜7日間持続する。

C. 以下の4つの特徴のうち少なくとも2項目を満たす。

  1. 両側性
  2. 性状は圧迫感または締めつけ感(非拍動性)
  3. 強さは軽度ー中等度
  4. 歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない。

D. 以下の両方を満たす。

  1. 吐き気や嘔吐はない
  2. 光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみ

頻発反復性緊張型頭痛

A. 3ヶ月を超えて、平均して1ヶ月に1〜14日の頭痛が10回以上あり、かつB-Dを満たす。

B-D. 稀発反復性緊張型頭痛に同じ。

慢性緊張型頭痛

A. 3ヶ月を超えて、平均して1ヶ月に15日以上の頭痛があり、かつB-Dを満たす。

B. 数時間〜数日間、または絶え間なく持続。

C. 以下の4つの特徴のうち少なくとも2項目を満たす。

  1. 両側性
  2. 性状は圧迫感または締めつけ感(非拍動性)
  3. 強さは軽度ー中等度
  4. 歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない

D. 以下の両方を満たす。

  1. 光過敏、音過敏、軽度の吐き気はあってもいずれか一つのみ
  2. 中等度ー重度の吐き気や嘔吐はどちらもない

緊張型頭痛の治療

薬物療法

発作急性期には非ステロイド性抗炎症薬が中心で、下記1)ー2)のいずれかが処方されます。

アセトアミノフェン末 1回500mg 頓用

ポンタールカプセル(250mg) 1回1錠 頓用

予防的治療として筋弛緩薬など下記が処方されます。

テルネリン錠(1mg) 1回1錠 1日3回

ミオナール錠(50mg) 1回1錠 1日3回

エチゾラム(0.25mg) 1回2-4錠 1日3回

心理・社会的療法

緊張型頭痛が心身症であることから、発症及び症状の持続に心理・社会的因子が関与している可能性が高いので、発症と経過に影響を与えている因子それぞれの軽減を図ります。専門的な心身医学的治療法としては、リラクセーション法、認知行動療法、バイオフィードバックなどの方法があります。

緊張型頭痛では、姿勢が影響することがあり、うつむき姿勢を避けることと、高すぎない枕を選ぶ方が良いとされています。

まとめ

緊張型頭痛は、もっとも頻繁に見られる頭痛であり、生涯有病率は、30〜78%と言われています。緊張型頭痛は、片頭痛とともに、代表的な心身症です。つまり、身体疾患の中で、その発症や経過に、心理、社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる状態です。症状は、両側性で、圧迫感または締めつけ感が強い頭痛です。治療法としては、薬物療法は非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬が用いられます。

参考文献

  • 高橋三郎. 大野裕他. (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院.
  • 樋口輝彦, 市川宏伸, 神庭重信, 朝田隆, 中込和幸. (2016). 今日の精神疾患治療指針第2版. 医学書院.
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