うつについて

双極性障害は躁うつ病とも呼ばれ、I型とII型があり、躁病エピソードか、軽躁病エピソードの有無で、診断されます。少なくとも一つの躁病エピソードが認められれば双極I型障害、軽躁病エピソードおよび抑うつエピソードが認められれば双極II型障害と診断されます。

うつ病においては、環境要因などがきっかけとなり、脳の機能障害が生じ、環境要因の解決が困難となるという悪循環が生じていると考えられます。治療ではその様な悪循環を断ち切るために、脳の休息と薬物療法、睡眠の調整、環境調整、精神療法、生活リズムの改善を行います。

心理的、身体的ストレスが重なった時、視床下部下垂体副腎皮質系の制御機構に乱れが生じ、副腎皮質ホルモンのグルココルチコイドが過剰に産生され、脳由来神経栄養因子の働きが阻害されると、神経細胞の機能障害が起こり、うつ病が発症すると考えられます。

２種類以上の抗うつ薬を使用してもうつ病が治らない場合、ストレス要因の再検討、他の抗うつ薬への切り替え、増強療法、電気けいれん療法等が提唱されています。海外では、エスケタミンの点鼻薬が新たな治療薬として使用されており、国内でも治験が行われています。

難治性うつ病とは２種類以上の抗うつ薬を最大量で１ヶ月以上使用してもうつ症状が改善しない状態で、うつ病全体の約3割を占めています。治療面としては、診断、副作用や服薬状況、心理社会的因子、合併症等について再検討することが重要だと考えられます。